男の局面、ここぞという時

若者は元気を持て余す・・・

あれは確かビーバップハイスクールが流行ってた頃だ・・・

場所はえ~と豪徳寺付近だったっけか・・

ああ、男7人も雁首揃えて
実に逃げ腰の勝負だったよなぁ~
あん時の窮地を救う俺の押しがなかったら、撃沈してたぜ♪

・・・・・・・


風を切りながら俺は夜の街を愛車と共にダチと連なり走りぬけていた。
チリンチリ~ン♪

その中で唯一チェリーボーイではないNが突如ナンパでもするかと言い出した。

根性試しか、
ちいっ、Nめぇ~俺たちチェリーボーイを見下してるなぁ~!
よっしゃ!
ここはみんなを出し抜いて、俺だけは違うってとこ見せたるぞ!


俺たちはしばらくその辺を徘徊しついに3人連れの女の子達を発見した。


「おい、誰か声掛けに行けよぉ~」「なんだよ、お前が行けよぉ~っ」

ちっ、どいつもこいつも情けねぇなぁ・・・
だからチェリーはしょんべんくせ~んだって~の。

でも俺はまだ出ねぇぞ・・・
だまだ序盤戦だから・・・
ここぞという場面で本気出すから
まずはお前らに任せる!

と最も効果的な場面が訪れるまで自分を温存することにした。


一番軽い男、Wが声をかけに行った!

ねぇねぇ君たちどっからきたのぉ~?


みんなWに続いて女子の周りに集まる。
ちりんちり~ん♪

・・・が、N以外はみんなビビって、黙って自転車のハンドルを握りただ突っ立てるだけだ。

おめぇ~ら大の男7人も雁首そろえて女、子供とロクに会話もできねぇのか情けねぇ~~!


WやNが中心に会話を続けているが、
話は弾まず女の子達の心は開かない。
徐々にナンパは終息に向かっていった。

やいやいやい!N、W!
もうちょっと会話が弾むような気の利いた話題をふれねのか!?

ここはいよいよ俺の登場だな♪
女の子が食いつくウイットなトークをかましてやんからよ~く見とけぇ!

とついに旗を上げる決心をした。



俺は深呼吸したあとついにキメゼリフを放つ。

「あの・・す・・・好きな芸能人は誰ですか・・・?」




逆転満塁ホームランでチームの窮地を救うはずの俺の渾身のスウィングは、
空振り三振スリーアウトチェンジに終わった・・・・・


あの決めゼリフは今でも仲間からネタにされからかわれる・・・

中坊達の熱い夜だ。






・・・しくしく  ・゜・(ノД`)・゜・。